東京愁情乱行記

怠けることに一生懸命

「徳島~鹿児島 自転車の旅」3月6日(3月8日、11日)

この日記を書いているのは3月8日である。あまりの疲労のため、日記を書く余裕が無かった。旅館を出たのは10時40分頃。しまなみ海道走破を目標に、自転車を走らせた。最初から大きな橋が待ち構えており、眼下にはまさしく絶景が拡がっていた。

 

3月11日。あまりに厳しい旅だったため、日記を書く余裕すらなかった。ここ数日間は、宿泊地に着く前から眠ることばかりを考えるようになっている。旅をして初めて睡眠の価値を実感した。いままで素泊まり5000円に散々文句を言ってきたが、今の我々にとって、快適な睡眠が得られるなら1万円も惜しくない。家が恋しい。とりあえず、6日から覚えている限りのことを書こうと思う。

 

しまなみ海道の距離は約70km。景色が良く、走っていて気持ちが良かったので、4,5時間もあれば抜けられるものと高をくくっていた。しかし、自転車での旅において強敵であるのは雨だけでなはなく、気温、登り坂、そして風である。瀬戸内海の風は思っていた以上に強く、必死に漕いでもなかなかスピードが出せず、なかなか進むことが出来ない一方で、体力はどんどん奪われていく。「尾道まで〇km」と書かれた地面の数字が一向に減らず、精神的にも追い詰められていった。ただ、やはり景色の美しさや、自転車専用道路の快適さもあって、走っていて飽きることはない。道の駅では「マハタ」という魚と海鮮ラーメンを食べた。これが非常に美味しくて、やはり旅の醍醐味は食に尽きると再確認した。なかなか進むことが出来なかった要因は風だけではなく、浜辺で遊んだり、写真をとったりと、我々が遊び過ぎたこともあるのだが。そのくらい、しまなみ海道は楽しかった。

途中、雪が降ったり、あまりの空腹で思考停止状態にも陥ったりもしたが、夜にはフェリーで尾道に上陸することが出来た。大した駅ではなかったが、お好み焼きはそれなりに美味しかった。周りに何もない駅だったので、夕食後すぐに東広島に向けて出発。この行程が思った以上に厳しかった。

峠を越えてから気付いたのだが、ペットボトルのお茶がバリバリに凍っていたほど、この日の気温は低かった。急こう配では自転車を押して歩いた。大型トラックが物凄いスピードで横を通り過ぎ、真っ暗闇の山のなか自転車を漕いでいると、いったい自分は何をしているのだろうと思い、泣きたくなった。ただ、久しぶりに満点の星空を眺めることが出来たのは、唯一の救いであった。

東広島に到着したのは1時を過ぎていたように思う。ネットカフェに入り、ようやく就寝することが出来た。