東京愁情乱行記

怠けることに一生懸命

「徳島~東京 自転車の旅」3月10日

下関までは10km程度だったが、存外時間がかかってしまった。下関に着くと、すぐに昼食をとった。高級回転寿司店に入ることにしたのだが、どうやら人気店らしく、平日というのに人で溢れていて、我々も30分程度待たされた。名産であるふぐ、くじらを食べようと思ったが、ふぐは大阪でも食べたので、今回はくじらを中心に食べることにした。赤身、ベーコン、竜田揚げなどを食べたが、なかでも「さえずり」という部位が最も美味しかった。「さえずり」というのは舌らしい。大トロのような柔らかさと、牛肉のような甘さがあって、まさしく絶品であった。また機会があれば食べてみたい。他にもいろいろと食べ、合計4000円以上になってしまった。しかし、回転寿司でここまで満足できることもあまり無いだろう。

市場を出て、下関人道トンネルを通り、我々はついに九州に上陸した。人道トンネルは10分もかからないくらいの距離だった。ともかく、我々は長く辛かった本州の旅をひとまず終え、北九州市に入った。北九州に到着してまず最初に感じたのは安心感であった。というのも、四国・中国地方と言う、言ってみれば「田舎」を通ってきた我々にとって、都会的な街並みはどこか帰京に近い感覚があり、少しだけ日常感を取り戻すことが出来たからである。

中洲に着いたのは21時近くだった。下関から中洲までは約80km。朝に20km近く漕いだので、この日は100kmくらいは漕いだことになる。水炊きの店を探し、「華味鳥」という店に到着。気品のある女性店員と、優しい主人の厚いもてなしに、我々は痛く感銘を受けた。料理の味もさることながら、どう見ても不衛生な我々を快く受け入れ、温かくもてなしてくれたことに感涙を禁じ得なかった。また来たくなるような、そんな名店であった。

水炊きを食べ終え、この日はネカフェに泊まることにした。この旅では幾度となくお世話になっている「ポパイ」である。毎度のことながら12時間パックをとり、ぐっすりと眠った。